特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
細菌検査
検体別同定検査各論
尿培養検査
松本 哲朗
1
1産業医科大学泌尿器科
pp.552-554
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101898
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尿路感染症は最も頻度の高い感染症の1つであり,泌尿器科のみならず,内科,産婦人科など多くの診療科で取り扱われている.尿路感染症は市中感染症として発症する一方で,病院感染としても頻度の高い感染症である.さらに,尿路感染症の大部分は腸管内,腟内,尿道口周囲に常在する細菌によって起こる内因性感染症である.通常,尿路に基礎疾患を有さない単純性尿路感染症と基礎疾患を有する複雑性尿路感染症に分類される.尿路感染症の診断には,尿検査により,細菌尿と膿尿の証明が重要である.また,尿培養検査は尿路感染症の確定とともに,感受性検査を行うことにより,治療に用いる抗菌薬に関する情報を得ることができる.特に,尿培養は定量培養を用い,菌量と起炎菌を同定する.
尿路感染症の診断
急性単純性膀胱炎の診断は,頻尿,排尿痛,尿混濁,残尿感,膀胱部不快感などの症状とともに,膿尿,細菌尿を証明すれば,急性膀胱炎と診断される.細菌尿の基準としては,≧103CFU/mlが採用されている.また,膿尿に関しても無遠沈尿を用いた計算盤法が採用され,≧10cells/mm3が基準となっている.尿の定量培養は,急性膀胱炎においては必ずしも必須の検査ではない.日常臨床では,検尿はテストテープを用いて行い,膿尿,細菌尿の定性検査を行っていることが多い.テストテープを用いた検尿でも,十分な情報が得られ,大きな支障はない.しかしながら,再発例や難治例では,定量培養と起炎菌の同定とともに薬剤感受性検査を行う必要がある.
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