増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液検査
血球検査
EPO(エリスロポエチン)
小松 則夫
1
1順天堂大学医学部内科学血液学講座
pp.76-77
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223206
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検査の概要
エリスロポエチン(erythropoietin:EPO)は主に腎臓から産生される分子量約34kDa,165個のアミノ酸からなる糖蛋白性の造血因子で,赤芽球系前駆細胞に特異的に作用し,その増殖や分化を支持し,赤血球造血を促進する.EPO産生を調節するのは酸素の需要供給のバランスであり,腎臓の細胞に存在する酸素センサーが働いて,その情報をEPO産生細胞(renal EPO producing cells:REP細胞)に伝え,転写因子である低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor:HIF)の安定化によってEPO遺伝子の転写が促進され,EPO産生が誘導される1).すなわち,低酸素状態(高地在住,肺疾患など)や貧血に陥ると組織での酸素が欠乏し,それが刺激となって腎におけるEPO産生が亢進し,赤血球造血が刺激され,赤血球数が増加する.
一方,酸素過剰や多血症の際にはEPO産生は低下し,赤血球造血は抑制される.このように,赤血球産生のホメオスタシスは巧妙な制御を受け,維持されているため,血中EPO値の測定は生体内での赤血球造血の状態を把握するうえで,有用な検査である.病院外の検査機関への測定依頼(外注検査)が可能である.
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