特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
炎症マーカー
赤沈(赤血球沈降速度)
東田 修二
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床検査医学
pp.160-161
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101760
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
赤血球沈降速度(赤沈または血沈)とは,抗凝固剤(クエン酸ナトリウム)を加えた血液を垂直に立てた細いガラス管に入れ,1時間後に赤血球が沈降してできた上清の血漿部分の長さをミリメートル単位の数値で示したものである.検査手技はWestergren法(国際標準法)1,2)による.近年は赤沈自動測定装置を用いる施設もある.
静置した血液中では,円盤状の赤血球は積み重なるように凝集塊を形成して沈降する.早く大きな凝集塊が形成されるほど,赤沈は亢進する.血液中で赤血球は陰性に帯電しており,赤血球同士は反発しているが,陽性荷電をもつγ-グロブリンやフィブリノゲンが増加すると,この反発が減少して凝集形成が促進される.一方,陰性に荷電しているアルブミンは凝集を抑制する.赤血球密度が低いと沈降は亢進し,球状赤血球などの形態異常のある赤血球は凝集が起こりにくいため沈降速度は遅延する.このように,赤沈は上記の血漿蛋白や赤血球の密度・形状を反映するものである(表1).
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.