特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
炎症マーカー
赤沈(赤血球沈降速度)
東田 修二
1
1東京医科歯科大学医歯学総合研究科臨床検査医学
pp.153-154
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104722
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
赤血球沈降速度(赤沈または血沈)は,国際標準法であるWestergren法では,抗凝固薬(クエン酸ナトリウム液)0.4mlと血液1.6mlを混合したものを,垂直に立てた内径2.5mmのガラス管に入れ,1時間後に赤血球が沈降してできた上清の血漿部分の長さをmm単位で計測した数値で示される.近年は,抗凝固薬としてEDTAを用いたり,専用採血管のまま挿入できる測定装置や,沈降の初期を光学的に検出して5~30分程度で1時間値を演算予測する装置もあるため,各施設の状況に応じた検体を提出する必要がある.
血液を静置すると,赤血球は重力によって積み重なるように凝集塊を形成して沈降する.早く大きな凝集塊が形成されるほど,赤沈は亢進する.血液中で赤血球は陰性に帯電しており,赤血球同士は反発しているが,陽性荷電をもつγグロブリンやフィブリノゲンが増加すると,この反発が減少して凝集形成が促進される.一方,陰性に荷電しているアルブミンは凝集を抑制する.赤血球密度が低いと沈降は亢進し,球状赤血球などの形態異常のある赤血球は凝集が起こりにくいため沈降は遅延する(表1).
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.