特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液検査
凝固・線溶系検査
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
福武 勝幸
1
,
馬場 百合子
1
,
上道 文昭
2
1東京医科大学臨床検査医学講座
2東京医科大学病院中央検査部
pp.100-102
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101737
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PTT(partial thromboplastin time)はLangdell(1953)によって血友病のスクリーニングとして考案され,軽度の凝固因子の欠乏にも敏感に反応し,その異常を検出するので広く実施されていた.現在では接触因子を充分活性化させて安定性のある成績を得るためにセライト,カオリンまたはエラジン酸などを添加して測定する活性化部分トロンボプラスチン時間activated PTT(APTT)が一般的である.原理としては被検血漿に血小板因子としてのリン脂質を充分に補って,内因系凝固因子と共通系凝固因子の欠乏を検出する方法である.
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血液凝固因子の第XII因子,第XI因子,第IX因子,第VIII因子,第II因子(プロトロンビン),第V因子,第X因子やフィブリノゲンの活性が単一あるいは複合して低下すると延長する.先天性の欠乏症・異常症や後天性の病態(肝の蛋白合成能低下による産生障害,ビタミンKの欠乏による修飾障害,当該因子への中和抗体の産生,異常蛋白産生による凝固反応の抑制,大量出血やDIC(播種性血管内血液凝固症候群)による凝固因子消費の亢進など)が原因である.この検査は内因系凝固因子または共通系凝固因子による凝固障害の存在をスクリーニングするのに有用である(図1).ただし,この凝固機構は検査上の古典的な考え方であり,臨床的には第XII因子の欠乏が出血傾向を示さないなどの矛盾から,近年の凝固機構の考え方とは一致していない.
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