技術講座 血液
部分トロンボプラスチン時間
馬場 百合子
1
1東京医大病院中検
pp.58-60
発行日 1975年12月1日
Published Date 1975/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200949
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部分トロンボプラスチン時間
1.原理
被検血漿に血小板因子であるリン脂質を十分に補って,内因系凝血因子の欠乏を測定する方法である.組織トロンボプラスチンは脂質タンパクで,正常血漿も血友病血漿も変わりなく凝固させるが,リン脂質は両者血漿の凝固時間に差をみせる.そこでLangdell(1953)は前者の完全トロンボプラスチンに対して後者を部分トロンボプラスチンと命名し,部分トロンボプラスチン時間(PTT:partial thromboplastin time)を考案した.
この反応系は,内因系の因子,すなわち第ⅩⅡ因子,第ⅩⅠ因子,第Ⅸ因子,第Ⅶ因子,そして第Ⅹ因子,第Ⅴ因子,第Ⅱ因子,第Ⅰ因子などの影響を受ける.これらの因子が低下,欠乏,質的異常などによりPTTは延長し,また抗トロンビン,抗内因性凝固因子(循環抗凝血素)の存在によっても延長する.またPTTにおいて接触因子を十分に活性化させて安定性のある成績を得るための方法として,活性化試薬を添加する方法としてAPTT(activated PTT)がある.これはリン脂質にカオリン,セライト,エラジン酸などを添加する.
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