特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
胸部
胸部外傷―胸部外傷患者の単純撮影をどう読影するか~ピットフォールを含めて
水沼 仁孝
1
,
加藤 弘毅
1
,
利安 隆史
1
1大田原赤十字病院放射線科
pp.170-177
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101202
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典型的な症例
症例は65歳男性,2004/04/20 11:30受傷の交通外傷.
12:34撮影の胸部単純X線写真では,左肺野のX線透過性の低下を認めるが左肺の虚脱はない.よくみると,左第4肋骨以下の肋骨外側に多発骨折を認める.左肺野のX線透過性は,この多発肋骨骨折による血胸であることがわかる.
胸部外傷で最も多いのが肋骨骨折である.これは骨折時に肺や肋間動静脈を損傷して気胸や血気胸を起こしやすく,また,肺挫傷や肺裂傷,時に心損傷や肝損傷も引き起こす.一つの肋骨が2カ所以上折れ,それが多発する場合には奇異呼吸をきたす,いわゆるflail chestとなり,急速に状態は悪化する.初療時に肋骨骨折のみと考えて,その後の観察を怠り,急激な血胸の進展や気胸の増大を見過ごすこともあり,頻回な観察が必要である.
本稿では肋骨骨折を中心に血気胸,肺損傷,大動脈損傷,横隔膜損傷などについて述べる.
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