特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
胸部
縦隔腫瘍―単純X線写真で絞る鑑別診断
高橋 直幹
1
,
藪内 英剛
1
,
本田 浩
1
1九州大学臨床放射線科学
pp.144-149
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101199
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典型的な症例
胸部単純X線写真正面像(a)で肺門部のレベルで,心陰影左側に接した腫瘤影を認める(黒矢印).境界は明瞭で,心陰影と上下端でなだらかに連続している.また,下行大動脈とのシルエット・サインは陰性で,傍脊椎線との連続性もないので,前縦隔由来の腫瘤と考えられる.また,左中肺野には内側は境界明瞭で,外側が境界不明瞭な腫瘤影がみられる(白矢印).また,左横隔膜は波状になっており(矢頭),いずれも胸膜腫瘤も疑われる.
側面像(b)で前縦隔に濃度上昇がみられ,腫瘤が前縦隔に位置することが確認できる.また,横隔膜は正面像同様波状になっている(矢頭).
胸膜播種を伴った前縦隔腫瘤の所見であり,胸腺腫や胸腺癌が第一に考えられる.鑑別としては悪性胚細胞腫や肺癌なども挙げられる.
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