臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
肝臓(上腹部の正常解剖を含めて)
肝内血腫
pp.2187
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217482
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症例1 肝内血腫(図27)
A.造影前,B.bolus injection後(主に門脈相) 造影前肝内に多数の低濃度影が見られる.下大静脈,門脈に該当すると思われるが,外側区のものは幅も太く2カ所に分かれている.また,左葉内側区背方肝門に近いものは低濃度影がより大きいが,この部にはこんなに太い血管はなく,これは明らかに異常陰影といえる.
門脈相を中心にとらえたBでは,Aで見られた低濃度の大半は絶対的高濃度影におきかえられ,門脈といってよい.しかし問題の内側区は染まらず,相対的濃度差を増している.また右葉背側右方に小さな円形の低濃度影が出現している.小さい陰影ではのう胞か充実性腫瘍かは判定できない.しかし,Aを見直しても該当所見ははっきりせず,体表面が同一でも内臓のスキャン面がずれていることに再度注意を払われたい.CT上の診断は,enhanceを示さない充実性腫瘍.血管造影上は腫瘤の存在も不明で,手術の結果は血腫であった.
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