今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
症候からのアプローチ
黄疸
森 秀明
1
1杏林大学医学部第3内科
pp.188-189
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100907
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黄疸は,臨床的には血清ビリルビンが2mg/dl以上に上昇し,皮膚や粘膜などが黄染した状態をいう.黄疸は障害される部位により,①肝前性(溶血性)黄疸,②肝性黄疸,③肝後性(閉塞性)黄疸に分類され,また増加するビリルビンの種類により,①非抱合型(間接)ビリルビン性黄疸,②抱合型(直接)ビリルビン性黄疸に分類される.非抱合型ビリルビンの上昇する疾患には,肝前性黄疸(溶血性貧血,シャント高ビリルビン血症など),肝性黄疸(体質性黄疸:Gilbert症候群やCrigler-Najjar症候群など)があるが,いずれの疾患も超音波上は有意な所見はみられない.抱合型ビリルビンの上昇する疾患には,肝性黄疸〔肝細胞障害,肝内胆汁うっ滞,体質性黄疸(Dubin-Johnson症候群やRotor症候群)〕,肝後性黄疸がある.肝性黄疸と肝後性黄疸の鑑別には超音波検査が有用であり,肝後性黄疸では肝内および肝外胆管の拡張が認められる(図1a,b).健常者では肝内胆管径は1mm前後,肝外胆管径は6mm以下であるが,胆囊摘出術後や高齢者では肝外胆管は太くなる傾向があるため注意を要する.また肝後性黄疸では胆囊の拡張の有無がポイントで,肝内および肝外胆管の拡張とともに胆囊の腫大を伴っていれば3管合流部より下方の閉塞,胆囊の腫大がなければ3管合流部より上方の閉塞が考えられる.表1および図2に超音波が診断に有用な黄疸をきたす代表的疾患とその鑑別のポイントを示す.
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