危険がいっぱい―ケーススタディ・医療事故と研修医教育 第1回【新連載】
倒れていた老婦人
田中 まゆみ
1
1聖路加国際病院内科
pp.148-153
発行日 2005年1月10日
Published Date 2005/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100448
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今回の症例は,昨日まで元気だったのに自宅で倒れ,右片麻痺・失語症で救急車搬送入院となった,76歳の女性である.
ベティ(症例提示役) 本日の症例は,76歳の白人女性です.高血圧・高脂血症の既往のある右利きの方が,自宅で倒れているのが発見され,右片麻痺と失語症にて,救急車搬送入院となりました.現病歴ですが,前日夕刻まで元気だったのに,翌朝電話に出ないのを不審に思った近くに住む娘さんが訪問して床に倒れているのを発見し,救急車を呼んだものです.救急隊の報告では,自発呼吸あり,痛み刺激で開眼するが発語はなく,GCS9(注1),体温36.2℃,脈拍110,呼吸数24,血圧180/110,酸素飽和度は90%で,右の手足が動かせませんでした.痙攣・嘔吐のあとはみられず,付き添ってきた娘さんによれば頭痛・発熱・咳嗽もなかったそうです.
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