特集 市町村の保健と福祉の専門職
市町村の公衆衛生医の役割と展望
國枝 寛
1
1坂戸市民健康センター
pp.589-591
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902973
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もうずいぶん年月が経過してしまったが,平成7年,私が県型の保健所長を辞して市役所へ移籍した当時,若干話題にもなり,話題性といった点で県内だけでなく県外からも講演依頼をいただいた時期があった.その中でどこでの講演だったかよく覚えてないが,ある保健婦から印象に残る質問を受けたことがあった.一言一句は覚えていないが,内容は「医者もいいが自分たち保健婦が今まで築き上げてきた保健センターをこれからも自分たちの考えでやっていってはいけないのか?」というものであった.もっと保健婦を信じてくれという意味であったと思う.
この質問がすべての保健婦の考えを表しているとは思わないが,私はあくまでも一緒にやっていこうと考えていたわけであったし,もし保健婦を信じていないなら市への移籍は考えなかったと思う.逆に私は15年間在籍した県で,保健婦に対して批判的な立場をとる人たちと一線を隔した立場をとっていたので,なんとなく裏切られたような残念な気持ちを禁じ得なかった記憶がある.
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