特集 公衆衛生における医療
保健所における医療監視の位置付け
岡田 尚久
1,2
1島根県出雲保健所
2全国保健所長会
pp.903-907
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902870
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はじめに
近年の医療事故の多発や院内集団感染事例は,国民の医療に対する信頼を大きく揺るがしている.患者の権利意識が大きく向上する中で,国民が安心して良質な医療を享受できるためには,各医療機関が不断の努力を積み重ね,良質な医療を提供することが必須である.一方,保健所は,これら医療機関に対して患者の立場から立入検査を実施し,監視・指導し評価することができる.この両者の協働作業は,地域の医療の向上のために不可欠なものである.
しかし,現在の立入検査の視点は,医療機関の人的および施設基準等の外的基準に留まっており,医療の質についてどこまで踏み込めるかという課題を抱えている.また,保健所の立入検査を担当する職員が「実施することに意義がある」という考えでは,医療事故等を減らすことは困難である.
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