視点
『環の国』—21世紀の環境政策ビジョン
岩尾 總一郎
1
1環境省環境保健部
pp.146-147
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902680
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2001年初頭,省庁再編によって環境省が誕生し1年あまりが経過した.環境庁の成立は,公害国会といわれた第64通常国会(1970年)で公害関係14法案が可決され,環境関連法制の抜本的整備がはかられた後の1971年7月1日であるから,ちょうど30年目になる.その後,組織としては72年に公害研修所,73年に国立公害研究所,そして74年に環境庁環境保健部が設置された.このように,20世紀最後の30年は公害対策が環境政策の大きな柱であった.
さて,21世紀の環境政策は何かと問われれば,人類と人類存続の基盤たる地球との共生であるといえる.われわれは20世紀を「大量生産・大量消費・大量廃棄の社会」として経済発展させた.地球に大きな環境負荷を与えた結果が,産業公害であり,自然破壊であり,地球温暖化であった.これを改め,21世紀を「簡素で質を重視した,活力ある持続可能な社会」にすべく,環境省は「地球と共生する『環(わ)の国』日本をめざして」というスローガンを掲げた.「環の国」とは,わが国の伝統(和)に通じ,人々が協働する「環」,生態系との「環」,国際社会との「環」という意味を込めている.
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