Japanese
English
研究と報告
青少年における動物虐待の実態―非行少年と対人暴力との関連を中心として
Animal Cruelty in Japanese Adolescents:The Relationship between Juvenile Delinquency and Interpersonal Violence
谷 敏昭
1,2
Toshiaki TANI
1,2
1八街少年院
2国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部
1Juvenile Training School of Yachimata, Yachimata, Japan
2Department of Forensic Psychiatry, National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry
キーワード:
Animal cruelty
,
Interpersonal violence
,
Child development
,
Crime
Keyword:
Animal cruelty
,
Interpersonal violence
,
Child development
,
Crime
pp.727-733
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101018
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録
日本における動物虐待の実態はまだ不明な点が多く残っているのが現状であり,さらには動物虐待と対人暴力との関連性についても知られていない。動物虐待と暴力系犯罪および被虐待歴との関連性を解析し,動物虐待の意義について検討した。少年院に収容された少年(少年院被収容者)61名と2学年時以上の中学生125名が調査対象となった。少年院被収容者においては,さらに本件事件の暴力行為性の有無によって非暴力系犯罪少年と暴力系犯罪少年の2群に分けて解析した。その結果,一般中学生では動物虐待経験率は約40%,非暴力系犯罪少年においては約55%であり,暴力系犯罪少年では約80%がなんらかの動物虐待経験を有することが明らかになった。また,動物虐待と被虐待経験との関連性は認められなかった。わが国において,動物虐待は例外的な行為ではない。今回の結果は,海外で報告されている結果と同じように,対人暴力と動物虐待との関連性を強く推測させるものである。また動物虐待行為には,生命倫理および自然体験学習としての心理発達的側面が含まれていることも示唆された。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.