Japanese
English
特集 青少年犯罪と精神医学
最近の青少年犯罪と社会
Recent Juvenile Crime and the Community
朝倉 喬司
Kyoji ASAKURA
キーワード:
Juvenile crime
,
Motivation of criminal acts
,
Identity crisis
,
Consumer-information society
Keyword:
Juvenile crime
,
Motivation of criminal acts
,
Identity crisis
,
Consumer-information society
pp.1181-1186
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902524
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1990年代末から2000年にかけて,少年犯罪の領域に,従来の通念や解釈の枠組みからする理解を絶したような傾向があらわれて,そのこと自体が深刻な社会問題化した。
「問題」の焦点として,いやおうなくクローズアップされたのは,その動機形成の不可解さである。たとえば2000年5月1日,愛知県豊川市で起きた「主婦殺人」の容疑者である高校3年の男子生徒A(17歳・犯行時,以下同)は,犯行の動機について「人を殺す経験が自分には必要だった」,あるいは「人が物理的にどれくらいで死ぬのか知りたかった」などと供述して捜査当局を戸惑わせた。自宅近くの無職T・H(68歳)方へ侵入,同家の主婦(64歳)の頭部を用意した金づちで乱打したうえ,首や顔など40か所を包丁で刺して殺害,被害者の夫であるT・Hにも切りつけ,首を絞めてケガを負わせたというのがAの犯行のあらましである。Aの供述をそのまま表面的に受けとれば,これだけの犯行が,ただ「探究心」「好奇心」によってなされたことになる。調べにあたって終始冷静であり,整然と自らの犯行を“説明”したAは,高齢の女性を狙った理由について「若くて未来のある人は(殺しては)いけないと思った」とも述べた。
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