連載 地域保健関連法規とその解釈・11
老人保健法
河原 和夫
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1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学系専攻医療政策学講座
pp.838-839
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902620
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わが国は世界でも類まれな速度で急速に人口の高齢化が進行し,2000年(平成12)現在で高齢化率は17.2%にも達している.65歳以上の人口層が全人口に占める割合が7%を超えた社会が高齢化に足を踏み入れた社会であるといわれている.わが国は1970年(昭和45)頃に既にこの水準に達し,高齢化率が倍の14%に至るまでわずか25年程度しか要していない.北欧を中心とするヨーロッパ諸国の2〜3倍のスピードで高齢化が進行してきたことはわが国が諸外国に比し,数倍の速さで高齢社会に対処する社会体制を確立させることが求められていることを意味している.地域保健と老人保健法との関係について解説したい.
わが国人口の高齢化に関する指標を経時的に図1に示している.人口の高齢化は昭和30年代後半には既に始まり,有史以来の人口転換(demographic transition)を迎えたのである.また,この時期は都市部の過密化と地方の過疎化,感染症から成人病へ,高度経済成長などの社会構造の転換の時期ともほぼ符合している.
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