特集 公衆衛生の新しい世紀
意欲のある公衆衛生医を育てるために
笹井 康典
1
1大阪府健康福祉部医務・福祉指導室医療対策課
pp.723-726
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902593
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大阪府は全国的に見て公衆衛生医師が多い自治体である.現在,府庁内や保健所,府立成人病センターや母子保健総合医療センターの疫学調査部門,がんや循環器疾患の検診・健康教育部門に約80名の医師が勤務している.その中で,疫学調査,検診,健康教育部門の公衆衛生医師については臨床医からの補充もありうることからほぼ充足している.また,保健所については,所長,地域保健課長そしてスタッフ医師の3名を確保する目標を立て医師の確保,育成に努めている.しかし,府庁医師や保健所医師の充足は,年々困難になっており,退職者の補充にも事欠く状況である.70年代後半からの医師養成数の増加から考えて,公衆衛生分野の医師不足もいずれ解決するものと予想されていたが,現実には一向によくならない.
私は昨年まで保健所医師確保の担当課長を勤めていた.その間,全国の医学部に保健所医師の募集通知や保健所のPR誌を送るとともに,近畿の各大学公衆衛生学教室については直接また手紙などの様々な方法で医師の確保や紹介をお願いしてきたが,「大学自体の教員が少なく,確保に困っている」,「保健所に関心がある医師が少ない」という答えが多く,そのルートでの補充は困難であった.しかし,幸いにも公募には毎年数名の応募があり,何名かの医師を採用することはできたが,退職者の補充に追われて保健所医師全体の数を増やすことはできなかった.
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