連載 「健康日本21」と自治体・11
糖尿病—生活習慣病としての重要性と対策
日高 秀樹
1
1三洋電機連合健康保険組合保健医療センター
pp.130-133
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902453
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糖尿病とは
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの作用不足による代謝異常であり,血中ブドウ糖濃度(血糖値)の増加が特徴であり,診断の根拠でもある.また,糖尿病は血糖値の高いままに長期間放置すると慢性の合併症を引き起こす.これらの合併症の終末像には,糖尿病に特異的な小さな血管の障害(細少血管障害)である網膜症による失明,腎症による血液透析が必要な腎不全,神経障害による知覚障害・インポテンツ・下肢の切断などがある.また,全身の動脈硬化症を促進して大血管障害といわれる狭心症・心筋梗塞・脳卒中などの発症・死亡を2〜8倍増加させる1).
糖尿病は,1)1型糖尿病,2)2型糖尿病,3)その他,4)妊娠糖尿病の四つに分類される.発病初期から著しい喉の渇き・多尿・体重減少などの激烈な症状を示してインスリンの注射なしには生命の維持が困難な1型糖尿病は極めて深刻な疾患である.一方,多くの場合自覚症状がなく発病時期すら明らかでない2型糖尿病がわが国の糖尿病の大多数(90%以上)である.「その他」に分類される糖尿病は病因の明らかなものであり,遺伝子異常までも明らかとされたものも多いが絶対数はわずかである.
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