入門講座 生活習慣病・1
生活習慣病の概要と対策
若井 建志
1
,
大野 良之
1
Wakai Kenji
1
1名古屋大学大学院医学研究科予防医学/医学推計・判断学教室
pp.53-57
発行日 2001年1月15日
Published Date 2001/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105729
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1.生活習慣病の定義
公衆衛生審議会(平成8年12月18日)の意見具申「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」によれば,生活習慣病とは「食習慣,運動習慣,休養,喫煙,飲酒などの生活習慣がその発症・進行に関与する疾病群」と定義されている.また,その範囲については,表1に例示されるような生活習慣との関連が明らかになっている疾病が含まれるとしている.
もちろん生活習慣が発症・進行に関与し,生活習慣病としての位置づけが可能な疾病は表1の疾患ばかりではない.喫煙習慣という1つの習慣だけに着目してみても,がん(肺がん,口腔がん,喉頭がん,食道がん,胃がん,膵臓がん,腎がん,膀胱がん,子宮頸部がん,肝臓がんなど),循環器疾患(虚血性心疾患,クモ膜下出血,閉塞性動脈硬化症,バージャー病),呼吸器疾患(慢性気管支炎,肺気腫,特発性間質性肺炎,自然気胸),胃十二指腸潰瘍,歯周病など,実に多くの疾患との関連が指摘されている1,2).更に疫学研究の進展にともない,生活習慣と疾病との新たな関連が見い出される可能性もあり,生活習慣病の範囲は更に拡大していくものと予想される.
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