連載 あなたにもできる調査研究—事例をもとに・8
健康習慣に関する調査研究
福田 英輝
1
1大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座
pp.806-810
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902400
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平成10年の人口動態統計によると,わが国の3大死因(悪性新生物,心疾患,および脳血管疾患)による死亡が死亡総数に占める割合は,60.3%であると報告されている.周知のように,これら3大死因は,生活習慣病として知られており,新たな健康づくり計画として登場した「健康日本21」の中でも,健康課題として「がん」,および「循環器病」として取り上げられている.健康日本21の概要によると,がん,循環器病などの生活習慣病の減少を達成させるために,肥満,たばこ,高血圧,高脂血症,糖尿病などの「危険因子の低減」,および健康診査,がん検診,歯科検診などの「検診等の充実」があげられている.さらにこれらを達成させるための最も基本的なステップとして「生活習慣の改善」が示されている.生活習慣の改善は,地域を基盤とした保健活動において今後ますます大きな比重を占めるものと考えられる.
多田羅らは「健康の多様性に対しては人々が自分の健康状態について正確な理解をすることが不可欠であり,健康の格差の存在に対しては,地域住民の健康状態の調査研究が不可欠である」と述べている1).この言葉は,生活習慣についてもそのまま適用することができる.
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