連載 あなたにもできる調査研究—事例をもとに・5
健康診査結果をもとにした調査研究
多田羅 浩三
1
,
菊川 縫子
1
,
福田 英輝
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.571-575
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902346
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老人保健法が成立したのは昭和57年である.制度が実施されたのは昭和58年2月であり,制度が成立してから18年の年月がたった.昭和58年度における当時の一般診査の受診率は20.7%,受診者数は617万人であった.そして平成9年度の受診率は38.9%,受診者数は1,057万人であった.一般の成人を対象に公費によって実施されている,わが国の健康診査のような例は,国際的にもその例がない.老人保健法による保健事業はわが国の公衆衛生の大黒柱である1).
わが国の平均寿命が世界のトップグループに仲間入りしたのは昭和50年のころである.昭和36年4月に国民皆保険体制が達成されて,国民は基本として大きな困難もなく医療サービスを受けることができるようになった.昭和48年には老人医療費公費負担制度が発足して,70歳以上の高齢者は自己負担なく医療を受けることができるようになった.平均寿命世界一の社会は,いわばこのような医療の充実を背景として達成された社会であるといえるであろう.
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