連載 「健康日本21」と自治体・6
「休養・こころの健康づくり」の基本的な考え方と進め方
島井 哲志
1
1神戸女学院大学人間科学部(健康心理学)
pp.652-655
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902364
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最近,アロマテラピーやミュージックセラピーなど,「癒し」を目指す,様々なセラピーに興味が集まっているように思われるが,このことは,身体的な健康だけでなく,こころの健康,あるいは,この両者を統合した全人的な健康に関心が高まっていることを示している.そして,これらの「癒し」に関連した情報や商品が流通しているということは,こころの健康づくりや全人的な健康づくりを実現するために,ある程度のコストを払ってもよいと考える人たちが一定以上いることを意味している.
こころの健康(psychological well-being)については,わが国においても,伝統的な保健医療の枠組みの中では,それほど重要なものとしては取り上げられてこなかった.わが国のこれまでの国民健康づくり運動においても,健康増進の要素としては,栄養,運動,休養があげられているが,そこで休養が示しているものは,運動と組み合わされた休養や保養ができる施設の充実という側面が強かったようにも思われる.
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