特集 "国民健康づくり"を考える
"国民健康づくり"の基本的視点
苫米地 孝之助
1
1(財)健康づくり振興財団
pp.541-544
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205899
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■はじめに
先日,ある座談会で保健所長さんから,「自分たちは戦後一貫して,健康づくりに取り組んできた.結核はなくなるし,乳児死亡は減ってきた.現在,成人病予防にも一生懸命取り組んでいる.保健所の仕事は即,健康づくりではないのか.今さら健康づくりを取り上げるということは,一体どういうことか」という質問があった.確かに,これは一つの見方であろう.
一般に国民の健康の指標として平均寿命,乳児死亡,訂正死亡の3つが挙げられるが,このいずれをとっても,わが国はすでに世界最高の水準に到達している.そして,この成果が公衆衛生や医療を担当しておられる方々の血のにじむような努力の結実であることは,誰もが認めるところであろう.これ以上,一体何をしようというのか,という疑問が,関係者の間に出ることは当然である.
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