連載 「健康日本21」と自治体・8
健康日本21と自治体によるたばこ対策
大島 明
1
1大阪府立成人病センター調査部
pp.816-821
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902402
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ご承知のように,たばこに関しては,たばこ以外の八つの分野と異なり,1999年8月に示された「健康日本21」各論(未定稿)たばこ分科会中間報告(案)や11月に示された同各論(案)たばこ分科会報告(案)と,2000年2月にまとめられた報告書「健康日本21について」各論4のたばこの章との間には,掲げられた目標に大きな差がある.健康日本21計画策定検討会たばこ分科会が作成した未定稿や案に掲げられていた「成人喫煙率を半減させる」や「国民1人当たりのたばこ消費量を半減させる」の目標(以下,「成人喫煙率半減目標」)は,2000年2月17日の健康日本21企画検討会での検討の結果削除されてしまった.
わが国におけるたばこによる健康問題の大きさを考えるとき,今こそたばこ対策に真剣に取り組む必要があることは,多くの人が認めるところであるが,具体的な目標やこれを実現するための具体的な対策となると,現時点では必ずしも多くの人の賛成を得ることができるとは限らない.たばこ問題の複雑さと困難さを改めて実感したわけであるが,嘆いているばかりではどうにもならない.自治体が健康日本21地方計画を立案し,これを進めて行く中で,たばこ対策について新規蒔き直しを図るようにするべきである.すなわち,たばこ対策に関して自治体で取り組めることを地道に積み重ね,保健医療関係者・組織・団体と連携して,できるだけ近いうちに,再度,国レベルできちんとしたたばこ対策の目標と対策を立案するよう,迫っていくべきであると考える.
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