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多剤耐性DT104型サルモネラ・ティフィムリウムによる食中毒
工藤 泰雄
1
,
楠 淳
2
1杏林大学医学部微生物学
2東京都立衛生研究所微生物部
pp.563-566
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902128
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サルモネラに起因する感染症のうち全身性の感染を引き起こすチフス性の疾患(腸チフスやパラチフス)は,衛生環境の整備,医療の進歩などに伴い近年激減した.しかし,一般に食中毒として扱われる急性の胃腸炎は食環境の変化とも関連してむしろ増加する傾向にある.特に最近では,欧米と同様鶏卵を介したサルモネラ・エンテリティディス食中毒が大流行しその防止対策が大きな関心事となっているが1,2),こうした最中,多剤耐性のDT104型と呼ばれるサルモネラ・ティフィムリウム(ネズミチフス菌とも呼称)による食中毒が新たに出現し,新興・再興感染症の一つとしてその発生動向が世界的に注目を浴びつつある3).
本稿では以下,このDT104型サルモネラ・ティフィムリウムによる感染症について,細菌学的,疫学的特徴などの面から概略紹介し,参考に供したい.
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