連載 公衆衛生へのメッセージ—福祉の現場から
老人福祉施設などにおける感染症対策への新しいアプローチ—高齢者のインフルエンザ対策を例として
出口 安裕
1
1大阪府福祉部高齢介護室
pp.504-506
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902114
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わが国では本格的な超高齢化社会の到来を迎え,保健・医療.福祉の連携のもとに,そのより適切な高齢者福祉サービス提供のためのシステム構築が求められている.特に,在宅介護の問題とともに,特別養護老人ホームや老人保健施設,ケアハウスなどの老人福祉施設などの入所者に対する処遇面の充実については重要である.高齢者においては,感染防御免疫能の低下などにより易感染性の問題がある.このため,健康な人では感染を起こさないような病原菌や非病原菌によっても感染症を起こしやすい.例えば,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)が病院や施設内で急増している.また,最近,腸管出血性大腸菌感染症などの食中毒やインフルエンザ感染症なども含めて,集団生活の場でもある老人福祉施設などにおける感染症の問題が問題となってきている.殊に,本年を含めて,最近,特別養護老人ホームなどにおけるインフルエンザの集団発生と高齢者の死亡例が報道され,高齢者に対するインフルエンザ対策が問題となってきている.このような点からも老人福祉施設などにおいての感染症予防対策は殊に重要な問題である.われわれは,大阪府下の老人福祉施設などにおける施設ごとの感染症(食中毒やMRSA,インフルエンザなど含む)とその対策の現状をアンケートなどにより把握して,その結果から現状を分析した.
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