連載 西生田の杜から
保健と福祉
足立 紀子
1
1日本女子大学社会福祉学科
pp.502-503
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902113
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ある実習で
「社会福祉士」の国家試験受験資格に必要な指定科目のなかに,福祉施設などでの実習があり,昨年の夏,私はある政令市の児童相談所にいった.ある時,思春期の女子の処遇に関する臨時所内会議が開かれている途中,近隣者からの電話通報による1歳半くらいの子どもへの虐待が疑われる内容の報告があった.その報告はそのままに終わり,数日後の定例所内会議でもその後の報告がなされた.そこでは,近くに住む当事者の縁戚にあたる人に児童相談所に来所させた上で得た具体的な情報が提供された.しかし,そこでもまた今後に向けての積極的な方策は何も確認されなかった.担当者のなすがままである.何のための会議だろうか? 一体この鈍感さはなんだ!
1歳半といえば本当にかよわい存在である.一日,一日がその子の成長や生命に与える影響のどれほど大きいことか.この切実感の乏しさは,感性の欠如なのか単に怠情なのか私には理解できない.
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