連載 シリーズ 始動した新しい健康の町づくり—出雲健康文化都市プロジェクト・1【新連載】
健康文化都市づくりの現代的意義—市民・行政・専門家協働のまちづくり
渡部 英二
1
,
山根 洋右
2
1出雲市健康福祉部
2島根医科大学環境保健医学
pp.267-272
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902063
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健康・医療・福祉に関する国際的潮流,社会的挑戦と実験は,21世紀の日本に多くの示唆を与えている.日本の戦後50年体制の腐朽化は政治,経済のみならず公衆衛生,医療,福祉のシステムにも及んでいる.従来の国,県の中央集権的健康政策は,市町村を主体とする地方主権,住民自治に基づく政策形成へと大きく変わろうとしている.
人々が生まれ,育ち,学び,働き,愛し合い,老いていく「人間尊厳の健康文化のまちづくり」は,市民を核とした市町村自治体の責務である.そして,市町村こそ最もバランスが取れた多彩な専門職集団であり,健康文化都市づくりの推進力である.静かに流れる大河の底流が激しく岩を噛んでいるように,健康文化都市づくり(Healthy Cities and Communities)は,従来の保健官僚主義,父権主義を深いところで突き崩し,地方主権と保健民主主義の成熟を加速度的に促進しつつあるように思われる.
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