特集 現場における研究のすすめ
職域におけるストレス研究
下光 輝一
1
,
小田切 優子
1
,
坂本 歩
1
1東京医科大学衛生学公衆衛生学
pp.812-817
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901785
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平成7年度から,作業関連疾患の予防に関する研究プロジェクト(労働省委託研究)がスタートした.本研究プロジェクトは,東京医科大学精神神経科加藤正明名誉教授(日本ストレス学会理事長,日本産業精神保健学会理事長)を班長とする一大研究プロジェクトであり,「労働の場におけるストレス及びその健康影響に関する研究」をテーマにして,30名を越える班員を集めて開始された1,2).
本研究プロジェクトは,発足当初は「職業性ストレスの健康影響評価」,「職業性ストレス測定法の開発」,「職業性ストレスの対策法の開発」という3つのテーマを持ち,そのそれぞれに,研究グループが形成された.まず,岐阜大学医学部公衆衛生学川上憲人助教授をリーダーとする第1グループは,「職業性ストレスの健康影響の評価」グループで,3〜4万人の企業従業員コホートを5年間にわたって調査し,職業性ストレスおよびそれに関連する社会心理的要因が健康障害の発生に及ぼす影響を明らかにすることを目的として開始された.本邦における労働者のストレスと健康に関するコホート調査は少なく,本研究プロジェクトは,米国職業安全保健研究所(NIOSH)の職業性ストレス調査票3)やRobert Karasekらにより開発されたJob content questionnaire(JCQ)4)などの,信頼性,妥当性の高い調査票を用いており,極めて水準の高い疫学研究のデザインによって企画されている点で注目される.
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