特集 現場における研究のすすめ
健康に影響を及ぼす環境問題の研究—環境庁の研究班より
椎葉 茂樹
1
1環境庁環境保健部環境安全課
pp.818-821
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901786
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昭和31年4月に新日本窒素水俣工場付属病院で,手足の運動障害,歩行困難,発語障害等などの脳症状を有する5歳と2歳の姉妹を診察した小児科の医師が,当時水俣で多発している奇病として5月1日に水俣保健所に届け出ている.これが後に世界のあらゆる公衆衛生の教科書に掲載されることになる水俣病の公式な発見で,わが国における公害の出発点でもあった.表1に水俣病の発見や原因究明に関して,保健所,医療機関,大学,行政といった「環境保健の現場」がそれぞれのどのような対応をしたかを示した.この時の初動対応は,環境保健活動の今後の方向を示していると筆者は思っている.本稿では,環境庁を中心に環境保健をめぐる様々な問題とそれに対する研究の進め方について私見を述べる.
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