報告
英国における循環器疾患予防のための栄養摂取に関する指針の変遷—1984年と1994年の指針の比較検討
大村 栄
1
,
桑守 豊美
1
,
鏡森 定信
1
1富山医科薬科大学保健医学教室
pp.503-509
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901726
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成人病は遺伝的要因に加えて加齢現象および環境要因が複雑に絡んだ結果である.それが発症する過程において,長期にわたる各人の生活習慣,すなわち環境要因が大きく影響する疾患である.成人の主な循環器疾患である脳血管疾患や虚血性心疾患についてもこのことは例外ではない.Forsdahl1)は,青年期の生活状況がその後の成人期の虚血性心疾患の発症に強く関連することから,危険因子について過去にさかのぼって論ずる必要があることを強調している.
英国では,すでに1974年に虚血性心疾患の予防を目的に,小児から成人に至る健康者を対象とした栄養に関する指針が発行されている.その後,10年ごとにこの主旨の報告書が発行され現在に至っている.われわれは,すでに1974年と1984年の指針の比較検討を行い報告した2).1994年には,その後の循環器疾患と栄養に関する研究の成果をふまえた指針があらたに発行された.疾病構造,人種などの違いのために英国の栄養指針をそのままわが国に当てはめることはできないが,その内容は今後のわが国の循環器疾患予防にとっても有益なものと考えられる.また,10年の間隔をおいて発行された栄養指針の内容を比較検討することは,今後のわが国の栄養指導を展望するに際しても資するところが少なくないものと思われる.
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