特集 地域保健元年
なぜ,今,「生活者主体」なのか
三浦 大助
1
1長野県佐久市
pp.9-11
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901620
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いまの保健所は,地域のニーズとは無関係に存在している
地域保健法は平成9年4月から施行になる.この法律が制定されてから2年もたって,あと半年で施行になるというのに,保健関係者の間にその意気込みが感じられない.これからの保健行政が,地域住民つまり生活者のために,どういう役割を分担し,何をしていかなければならないかという議論よりも,出てくる議論は,相変わらず保健所からは「数減らし」への不満が,市町村からは業務量が増えることへのため息ばかりである.法律は改正され整備されたものの,どうも保健所の存在感が薄い.
この法律の中で,保健所は地域保健の専門的中核として,地域保健に関する情報センターとして,地域保健に関する調査研究機関として,また,管内市町村への調整・指導・研修などを主たる業務とする機関として機能することが明文化されている.この2年間,地域保健という言葉だけは,確かに百花斉放の花盛りであった.しかし,地域保健という言葉が今までのやり方とどこが違うのか,いま一つ定かでないところに問題がある.
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