特集 地域保健元年
<インタビュー>改めて「地域保健法」を作った人の本音を聞く—伊藤 雅治 厚生省大臣官房審議官に聞く
伊藤 雅治
1
1厚生省大臣官房審議
pp.4-8
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901619
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「保健所法」の改正に当たって,市町村や保健所の役割が変わってきたことがあげられていますが,今の時点で変わっていることは何ですか.
伊藤 それは保健所法が制定された当時と,現在で何が変わったということでしょうがいくつかあげられます.
まず,第一に公衆衛生の課題が変わってきているということです.これは非常にはっきりとしたことで,これは疾病構造の変化をみても,非常に明白です.そのことが何を意味するかというと,たとえば,急性伝染病対策や結核対策などは社会防衛的な色彩が強く,公衆衛生の原点のような仕事で,いうならば専門家の判断が絶対の世界でした.ところが現在は,老人性痴呆や難病あるいは障害者問題など,ハンディキャップを抱えた人の生活をどうするかという課題は,公衆衛生のプロフェッショナルの判断が絶対的ではなく,あくまでもサービスの提供者であり最終的にはサービスを受ける人たち(住民)に決定権があるということです.
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