特別企画 O-157への保健所の対応—住民への広報活動を中心に
保健所における腸管出血性大腸菌O-157に関する住民への広報とその重要性について
出口 安裕
1
,
大塚 順子
1
1大阪府八尾保健所
pp.718-720
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901571
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病原性大腸菌O-157による食中毒が本年の5月より各地で問題となり,残念なことに大阪府においてもこれによる食中毒患者が6月以降発生した.病原性大腸菌O-157は産生するベロ毒素により,出血性大腸炎を起こし,時に溶血性尿毒症症候群(HUS)や血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)により腎臓や脳などに重篤な症状を引き起こす1).また,比較的少量の菌により感染発症が成立するので2),感染に対する予防が大切である.保健所は地域における公衆衛生の中心機関として,管内における公衆衛生の向上および増進に関して重要な業務を担っているが,病原性大腸菌O-157感染症に対しても,その感染対策などの視点に加えて,健康相談,健康教育,訪問指導などの保健指導をとおして,住民に対し正しい知識と予防などの指導や広報などを通じての啓蒙を行うことが,大切であることは,上記の腸管出血性大腸菌感染症の特徴をみても論をまたない点である.
つまり①個のケースとのかかわりにおける2次感染の予防,②一般的な広報啓発活動,③各関係機関と連携をもった保健行政機関としての対応である.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.