連載 疫学の現状
がんの疫学—最近日本で増えつつあるがん—1次予防
嶽﨑 俊郎
1
,
田島 和雄
1
1愛知県がんセンター研究所疫学部
pp.364-368
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901484
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最近の分子生物学の発展によりがんの発生,促進にがん遺伝子やがん抑制遺伝子などの異常(変異)が大きくかかわっていることがわかってきた.これらの異常は様々な環境要因への暴露により生じることが多く,それらの異常が積み重なってがん化していくと考えられている.また,環境は遺伝子だけでなくホルモンをはじめ様々ながんの要因に深くかかわっている.図1にDollらがまとめたアメリカ合衆国におけるがんの原因の寄与割合を示す1).現在の日本の状況と多少異なる点もあろうが,日本のがんについても類似した割合があてはまる.これによると食物とタバコの関与が圧倒的に大きいことがわかる.本稿では,主ながんの危険因子と防御因子についてまとめ,がんの1次予防について述べてみたい.
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