特集 公衆衛生/予防医学と分子生物学
癌の予防と早期発見へのアプローチ—大腸癌の遺伝子診断
湯浅 保仁
1
1東京医科歯科大学衛生学
pp.834-836
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901388
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はじめに
近年,癌から多数の遺伝子の変化が報告され,癌は遺伝子の異常により起こることが明らかになった.遺伝子の変化は癌の発生・進行・転移の各段階に作用していることがわかり,逆に遺伝子を調べることによりその癌の性質を明らかにできるようになりつつある.さらに近年のDNA解析の進歩ともあいまって癌の遺伝子診断が可能となった.
本稿では大腸癌(直腸癌も含む)にしぼって遺伝子診断を概観するが,ほかの癌においても同様に調べることが可能である1).大腸癌は近年日本人に増えている癌であり,遺伝性に発症する場合もある.遺伝子変化も詳しく調べられており,癌の遺伝子診断の代表たりうる.
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