報告
精神障害者を支える家族のための「家族教室」
斉藤 富美代
1
,
唐木 順子
1
,
山口 一
2
1埼玉県坂戸保健所
2埼玉県立精神保健総合センター
pp.797-800
発行日 1995年11月15日
Published Date 1995/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901378
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はじめに
最近の精神障害者の家族研究では,家族は精神分裂病の発症原因とは無関係であるが再発に大きく関与していることが分かってきた.すなわち情動的に巻き込まれやすい家族のもとに退院する患者は,そうでない家族のもとに退院する患者に比べて再発率が有意に高いということである.そのため分裂病の再発率を下げるための治療的介入の一つとして,家族に適切な情報・知識を提供する家族教育の必要性が強調されている.
坂戸保健所は管内人口が22万人であり,管内に大きな精神病院があるためか,従来から精神保健に関する相談業務が多かった.精神障害者の家族に病気についての知識や理解が不足しているために,適切な対応ができずに病状の悪化を招いてしまうケースが少なくなかった.また平成3年6月まで川越保健所の支所であったため,家族会の開催も管外で行われるために参加しにくく,家族は他の患者や家族の状況を知ることもできず,家族だけで患者を抱え込んで孤立し苦悩していた.こうした問題を解決するためには保健婦の個別の対応だけでは不十分であり,同じ悩みをもつ家族同士が集まって病気についての正しい知識を得たり,悩みを共感したりする機会が必要であると考えた.
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