調査報告
地域における小児耳科疾患の検討—滲出性中耳炎難治遷延ケース検討から
福永 一郎
1,3
,
丸山 保夫
2
,
實成 文彦
3
1香川県坂出保健所
2香川県丸亀保健所
3香川医科大学人間環境医学講座衛生・公衆衛生学
pp.888-892
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901170
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●はじめに
小児の滲出性中耳炎は,3歳児の1割が罹患している1)といわれ,これらをはじめとする幼児期の耳科疾患対策は母子保健推進上の課題となりつつある.なかでも難治遷延する小児の慢性・滲出性中耳炎は,軽度から中等度も難聴を伴い,頻回の通院,複数回の入院手術を必要とすることも多く,幼児期における患児の精神発達や学習行動,患児家族の日常生活や経済状況に及ぼす影響は大である.
この長期加療を要する難治性の小児滲出性中耳炎については,臨床現場ではよく遭遇し,その取り扱いに難渋するが2),地域保健現場では,そのような事実が存在すること自体あまり知られておらず,したがって,地域保健現場で取り上げられることも少なく,小児耳科保健に関する理解・関心は未だ得難い状況である.
今回われわれは,小児慢性・滲出性中耳炎の難治遷延ケースの検討を行い,その実態を明らかにし,地域における小児耳科保健の重要性について,予防医学的考察を加え報告する.
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