疾病対策の構造
(4)病気を数える
倉科 周介
1
1東京都立衛生研究所
pp.880-883
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901168
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このシリーズの主題のひとつは,社会の体力の向上による病気の抑制である.空気や水や,さては大地のように,桁外れに大きく重い存在は,そのためにかえって意識され難い.社会も間違いなくそのひとつである.19世紀に至るまで,ヒトは病いに対するに僅かに祈りと施しをもってするのみだった.一転して20世紀は,予防接種と抗生物質に代表される医学的疾病対策と学術信仰全盛の時代として終始した.その効果と限界が共に明らかになりつつある今,次なる世紀に向けての疾病対策は,病気の抑制において社会が果たす巨大な役割を冷静に認識するところから出発すべきであろう.社会における病気の数と質の総体を適切にとらえることから,その作業ははじまる.
SAGEがそのための道具であることはすでに述べた.仕組みや使い方や効果も,何度となく説明してきた.今回はSAGE構築の前史に触れながら,その原材料である統計資料の重みについて紹介することにしたい.
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