特集 精神障害者の社会復帰
精神保健の地域ネットワークづくり—保健所デイケア活動の実践から
渡辺 タエ子
1
1埼玉県狭山保健所
pp.32-35
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900955
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■はじめに
地域精神保健の一層の充実が求められている今日,保健所は,精神障害者の地域リハビリテーションの中核センターとして,いかにその機能を果たしていくかが問われているといえる.まず,精神障害者の社会参加,社会復帰を考えるとき,“障害”をどうとらえるかが重要なことであると思う.障害の概念を「疾患によって起こった生活上の困難・不自由・不利益」ととらえ,精神障害者は,病者であるというだけでなく,社会生活遂行上の困難,不自由,不利益を被っている「障害者」であり,疾患と障害と,そして「健全」な機能や能力を併せ持つ人(住民)であるという理解を欠くことはできない.精神障害者の被る障害は,社会環境との関係に属するという認識が重要である.こうしたことから,保健所は,保健福祉的視点をもち,地域サポートシステムづくりも視野に入れた活動を期待されているのである.
筆者は,埼玉県朝霞保健所新座支所において(昭和63年4月〜平成5年3月朝霞保健所新座支所に勤務),「保健所デイケア事業」(以下,デイケアと略す)を軸として上記のような観点に立った取り組みを展開してきた経験から,その実際を紹介し,デイケアを通しての精神保健の環境づくりのあり方について述べたい.
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