特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第10章 歯科・口腔外科
歯科・口腔外科領域
-この5年の進歩
津島 文彦
1
,
原田 浩之
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎口腔外科学分野
pp.2002-2003
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_2002
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薬剤関連顎骨壊死
近年,骨転移や悪性腫瘍による高カルシウム血症,多発性骨髄腫および骨粗鬆症に広く用いられるビスホスホネート(bisphosphonate:BP)製剤による重大な副作用として,顎骨壊死(bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw:BRONJ)が問題となっている(図1).さらには,BP製剤とは異なる機序で同じ骨吸収抑制作用を示すdenosumabなどの抗RANKL抗体製剤や血管新生阻害薬であるbevacizumabやsunitinibにおいても顎骨壊死を生ずることから,現在では薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)と呼称されるようになった.本邦では,2016年に6学会(日本骨代謝学会,日本骨粗鬆症学会,日本歯科放射線学会,日本歯周病学会,日本口腔外科学会,日本臨床口腔病理学会)共同での顎骨壊死検討委員会よりポジションペーパーが発表された1).これにより,発症機序はいまだに不明であるが,発症予防や治療法については一定の見解が示されつつある.
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