視点
人口と保健福祉政策
小川 直宏
1,2
1日本大学人口研究所研究部
2日本大学経済学部
pp.153-154
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900985
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【2007年に向けて】
日本大学人口研究所が1993年2月に公表した人口推計によれば,わが国の総人口は1990年の1億2,361万人から2007年の1億2,864万人まで増加した後に,減少に転じることが示されている.また,年齢構造も著しく様変わりし,65歳以上人口が総人口に占める割合も1990年の12.1%から2025年では27.3%まで増加するのである.しかも,65歳以上の高齢人口が20%に到達するのが2007年であり,この時点で,人類史上初めて20%という高水準に達するのである.
2007年に総人口は減少を開始し,同時に高齢化水準も世界一となるが,現時点では依然として人口も緩やかではあるが増加を続けており,高齢化水準も西欧諸国と比べても未だ相当に低い水準である.しかも,従属人口比(0〜14歳の年少人口と65歳以上の高齢人口の合計値を15〜64歳の生産人口で除して100を掛けた値)は43であり,1920年に国勢調査が開始されて以来の最低水準にある.このような状況からも明らかなように,人口高齢化現象が本格化する前の現在こそ,来世紀に向けての高齢化論の展開および政策の設定にとってベスト・タイムといえよう.
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