特集 保健婦制度制定50周年を迎えて
[後輩へのメッセージ]
保健・福祉のネットワークづくりをめざして
百田 百合子
1
1島根県巴智郡川本町
pp.1088-1089
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900385
- 有料閲覧
- 文献概要
1955年,保健婦に就任以来,今年で36年目を迎えました。いま私は,川本町の保健課長として,慣れない保健行政事務や議会への対応,財政問題等に翻弄されながら,悪戦苦闘の毎日を過ごしています。長い間保健婦として,町民の健康と幸せを求め続けてきた活動の一端を,特に心に残るものを記してみたいと思います。
保健婦として家庭訪問や健康相談,集団検診などを繰り返し,地区診断を行ない,この地域の保健ニーズは何か,これにどう対応したらよいのだろうかと模索しつづけたのは,1959年代後半のことでした。川本町は度重なる大洪水に遭い,そのたびに増える町民の出稼ぎ,残された老人や主婦が農業を守り,そのほとんどが多くの不定愁訴を抱えているのを見て,はたと困惑しました。栄養,運動,休養のバランスが大切とは言いながら,言葉だけの説得では人は動きませんし,生活も変わりませんでした。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.