特集 精神障害者の社会復帰
精神保健の地域ネットワークづくり—精神衛生都市をめざして
石神 文子
1
,
坂井 芳夫
1
,
山中 克哉
1
,
中尾 恵子
1
,
山下 真澄
1
,
香西 孝純
2
1大阪府枚方保健所
2大阪府狭山保健所
pp.21-24
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900952
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■はじめに
精神保健法(昭和63年)制定後,地域における社会復帰施設の一部が認可されたことは,地域精神保健業務に携ってきた私たちにとっては,まさに雪解けの感があった.すなわち,精神障害者は病者であると同時に,障害者であることが法的に認められたからである.たった一つ開かれた小さな突破口は,それまで精神障害者(以下,精障者)の在宅福祉に独自で取り組んできた者たちにとっては,一条の光と見え,その光に頼ってあえて大変な施設づくりにかかるなど,全国的に活気づいてきたといえる.
昭和41年から,保健所の精神衛生相談員(現・精神保健相談員)として勤務してきた筆者にとっても,公的補助制度の無い中で作業所づくりに取り組んだ体験から,少なくとも公的助成が得られるものなら,当事者(家族を主として)が意欲的に取り組める目標として施設づくりを考えるようになった.
今,地域精神保健の課題は,1つでも社会復帰に役立つ場を増やすことであると考える.その中で,枚方市内での地域精神保健の展開を述べ,本当の意味の精神衛生都市として,枚方がノーマライゼーションを実現していけるのかについて触れたい.
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