特集 健康スポーツ科学の展開
健康スポーツ実施指針の私案
石井 喜八
1
,
日比 端洋
1
Kihachi ISHII
1
,
Naohiro HIBI
1
1日本体育大学身体動作学研究室
pp.832-836
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900928
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◆はじめに
われわれは,この世に生をうけてから死ぬまで,呼吸を繰り返し,心臓が動き続け,血液を循環させている.この働きは主に空気中からの酸素の取り込みである.また,口経的に得た栄養物の異化作用によって得たエネルギーは,身体の各筋組織器官に運搬され,筋組織ではそれを機械的エネルギーに変換して,日常生活行動の力を発揮している.この日常的活動は,生命維持の最後の一時まで食餌を口に運び,排泄物の処理を行う能力の維持を,自分自身によって行えることを望んでいる.これは,人間における生活運動の最低限の維持レベルであると考えられる.
動くからだが正常な状態にあるとし,その性能検査が行われてきたが,これまでの体力測定は,人間の最大運動能力を発揮するレベルを対象にしてきたと思われる.これが運動生理学の領域の中の一つの課題であった.そして,いくつかの見解が得られた.例えば,加齢に伴う最大酸素摂取量や筋力は,およそ20〜25歳を頂点としてそれ以後,年齢とともに減少することが明らかとなった.これは,高齢化社会への移行によって,生存期間が延長したことによって拡大したたあに確かめられた現象といえる.
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