調査報告
医学生と精神障害との社会的距離に関する研究
寺田 純雄
1
,
岩沢 邦明
1
,
清水 靖仁
1
,
川上 憲人
1,2
,
荒記 俊一
1
Sumio TERADA
1
,
Kuniaki IWASAWA
1
,
Yasuhito SHIMIZU
1
,
Norito KAWAKAMI
1,2
,
Shunichi ARAKI
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
2現岐阜大学医学部公衆術生学教室
pp.735-738
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900904
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◆はじめに
地域住民や家族の精神障害者に対する態度は,精神障害者の社会復帰に大きく影響する.この観点から人々の精神障害に対する態度,すなわち社会的距離(social distance)について多くの研究1-4)が行われてきた.
地域住民とならんで,医療関係者の精神障害者に対する態度は,精神障害者の治療を行う者として,あるいは一般住民に対し専門家としての助言を行う者として重要と思われる.このため従来から精神障害者に対する医療関係者の態度に及ぼす医学教育の効果が注目されてきている.これまでの看護学生を対象とした報告2)では,教育は精神障害者に対する理解度および許容度を増加するとされている.また医学部学生では高学年ほど精神障害の判断が適切であり5),また精神障害に対する許容的態度が増加する5)とされている.
これまでの研究では精神障害者に対する社会的距離を単一の尺度によって評価することが多い.しかしながら,精神障害者に対する意識あるいは態度は,複数の要素から構成されている可能性がある.このため医学教育によって精神障害者に対する態度のある側面が許容的になる一方,逆にある側面では非許容的な態度を形成することも考えられる.
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