講座
産業医学における神経および心理・行動機能評価〔5〕—主観・感情と自律神経機能
川上 憲人
1
,
村田 勝敬
1
,
荒記 俊一
1
Norito KAWAKAMI
1
,
Katsuyuki MURATA
1
,
Shunichi ARAKI
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
pp.766-770
発行日 1988年11月15日
Published Date 1988/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207814
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■はじめに
主観,感情等の精神機能は客観的な定量化が困難であり,公衆衛生学領域での測定,評価が遅れている.近年,職場の精神的ストレスや有害環境の評価のために,これらの重要性が認識されるようになり,精度の高い方法が開発,応用されつつある.
主観や感情の異常状態は,自律神経系や内分泌機能の変化を伴う.これまで,自律神経機能は自律神経症状や,カテコールアミンなどの血液,尿中濃度で評価されてきた.近年,糖尿病による自律神経障害の増悪に伴い,心電図のR-R間隔の変動(以下,心電図R-R間隔変動と略す)が消失することが見いだされ1),これを用いた自律神経障害の評価法が注目されている.
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