報告
精神障害者の体力と社会復帰の関連性—精神科デイケア通所生の体力テスト
境 美津枝
1
,
大井 和子
1
,
三角 順美
1
,
中河原 由美子
1
,
高原 利明
1
,
山下 秀一
1
Mitsue SAKAI
1
,
Kazuko OHI
1
,
Naomi MISUMI
1
,
Yumiko NAKAGAWARA
1
1北九州市立デイ・ケアセンター
pp.879-882
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900709
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1.はじめに
精神障害者は医療を要する病者であるとともに,日常生活上に種々の困難をきたしている障害者でもある.しかしながら,彼らの障害は一般には理解されにくいのが現状である.かれらの怠惰としか見えない反応が心理的側面のみならず,その背景にある体力のなさや,精神的脆弱性によるものであることを明らかにすることは,精神障害者が地域において生活し,住民に受け入れられるために必要と考える.そこで,障害の見え難さを視覚化し,障害の受容を共有しやすくするひとつの指標として我々は体力テストを活用している.精神障害者の多くは自分のあるがままの能力を受け入れられず非現実的な目標を掲げやすいという傾向を一般にもっている.そのためデイ・ケア活動を通じて,自己の能力の限界を受け入れるという現実性獲得を促す援助のひとつとして,体力テストは活用できるものと考える.精神障害者の体力については「慢性分裂病者の体力」として本誌(55巻2月号)で報告をした.今回,体力と社会復帰の関連性について体力テストの結果をもとに考えてみた.また,現実性獲得と体力評価について検討してみた.
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