データにみる健康戦略 21世紀への健康戦略—データにみるその目標・6
結核の凋落
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都立衛生研究所
pp.863-866
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900705
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当節の日本では,結核で死ぬ人はまれになった.年間3,000名前後の死亡者のほとんどは,古い病巣の焼けぼっくいに火がついた老人性結核の犠牲者である.結核の診断が冥土行きの片道切符として恐れられた時代はたしかに過去のものとなった.結核が自然消滅するという見方が1970年代の大勢を占めた結果,WHOも結核部門の人員をなしくずしに削減してきた.だが,この予測は現段階では楽観的にすぎたようである.患者の増加や多剤耐性菌の出現など,近年,にわかに結核の動静が注目されつつある.デュボス(Dubos, L)いうところの「白いペスト(white plague)」との関係を人類が清算することは,はたして可能なのだろうか.
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